テレビに出演、映画について語るジョージ・タケイ氏(7月25日、写真:REX/アフロ)

「マンザナーの過ちを繰り返すな」
立ち上がった日系人

 今、米国で第2次大戦中の日系人強制収容の問題が注目されている。

 建国の基本理念、自由と平等の原則に反し、日系米国人約12万人の資産を凍結。全米10か所の強制収容所に送り込んだ米国にとって「史上最大の汚点」(ロサンゼルス・タイムズ)とされている。

 強制収容所で特に有名なのはカリフォルニア州の砂漠地帯や荒野に作られたマンザナーやツールレイクの収容所だ。

 砂漠のど真ん中に作った広大なバラック施設だ。自然災害から難を逃れた人たちのために作られた一時施設のようなものだった。

 有刺鉄線が張り巡らされ、監視塔には武装した米兵がにらみを利かせていた。自国民を敵国のスパイとみなして作った「捕虜収容所」だった。

 今その日系人の強制収容所が脚光を浴びているのは、ドナルド・トランプ大統領が中南米から米国に不法入国した移民を同じように強制的に収容し、中には親子を隔離する非人道的な措置を取り続けているからだ。

 こちらは不法移民で日系人はれっきとした米国市民の違いはあるが、共通するのは異なる人種に対する白人の蔑視と白人至上主義・白人第一主義だ。

 いつの世も人種的偏見と差別はなくならない。大統領はレイシスト(人種差別主義者)以外の何者でもない。

 こうした状況が続く最中、これまでどちらかというと米主流での論議に参加することには消極的だった日系人たちが立ち上がった。

 かって米国市民でありながら「敵国の日本人と同じ顔している」ということだけでスパイ扱いされた犠牲者として、トランプ政権が行っている移民政策には黙っていられないという心の叫びがある。