中華人民共和国新疆ウイグル自治区・カシュガル地区のモスク(出所:Wikipedia)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 新疆ウイグル自治区で問題となっている「再教育施設」。中国政府がウイグル族を中心とするムスリムに共産主義、毛沢東思想を叩き込むための強制収容所である。

 最近、とあるウイグル人から「再教育施設から家族が帰ってきたという話をいくつか聞いたんですが、これはどういうことでしょう」と尋ねられた。「北戴河会議前であることと何か関係があるかもしれない」「中国はいったん軟化した姿勢をみせて、こちらが油断したところで再び締め付けを強化するみたいなことを繰り返してきた」・・・そんな話をしたが、本当のところどうなのだろう。

 新疆のウイグル人迫害はあまりに深刻な人権弾圧問題であり、日本を含めた22カ国が国連人権理事会に教育施設の閉鎖を求める書簡を提出している。もし、そういう国際社会の要請に反応したのであればいいのだが、中国にそんな殊勝さがあるものだろうか。それとも比較的開明派の副首相・汪洋が新疆工作協調小組組長(新疆政策の責任者)に就任したことで、何か変わる気配があるのだろうか。

 折しも中国政府は7月21日、「新疆の若干の歴史問題に関する白書」を発表した。その中身をみながら、中国の新疆政策の今後を占ってみたい。

「米国はダブルスタンダード」と批判

 まず中国公式発表である新華社がこの白書についてどう報じているか。