中国による直接支配の歴史が浅い新疆(しんきょう)ウイグル自治区では、少数民族の間で独立や自治獲得を望む声が根強いが、中国政府による厳しい弾圧を受けている。ジャーナリスト・福島香織氏は、著書『ウイグル人に何が起きているのか』(PHP新書)で民族迫害の過酷な実態に迫った。前回は、カシュガル市の変化を取り上げた。今回は、在日ウイグル人のインタビューを中心にお届けする。(JBpress)
(※)本稿は『ウイグル人に何が起きているのか 民族迫害の起源と現在』(福島香織著、PHP研究所)の一部を抜粋・再編集したものです。
日本でも行われているウイグル弾圧
(前編)中国で「ウイグル人」と誤認され尋問された日本人の話
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56977
(中編)中国某地域の「交番」がコンビニ以上に密集するワケ
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56978
2018年秋ごろから、英米メディアの後追いというかたちで日本でもウイグル問題が少しずつ報じられるようになったが、依然、及び腰が続いている。
ウイグル問題は取材リスクが高いわりには、読者・視聴者の関心が低いテーマであるということも大きい。だが、日本人にとって本当に遠い国の無関係な出来事だろうか。
中国共産党のウイグル弾圧は、じつは日本でも行われている。留学や就職のために日本で暮らすウイグル人たちも、この中国共産党の民族弾圧の危機に晒され、日々恐怖を感じているのだ。
日本には2000人前後のウイグル人、あるいはウイグル系日本人が暮らしている。私は東京近郊に暮らすウイグル人社会人、留学生たち約20人にインタビューしたが、その誰もが、家族の誰かを再教育施設に収容されていた。