大阪で開催されたG20サミットはつつがなく終了し、すでに話題は日韓輸出規制問題や、参議院選挙に移っている。しかし改めて今回のG20を俯瞰してみれば、その裏で中国がアメリカに代わり世界の覇権国となる野心を露わにしていたことが見えてきた。
その野心は習近平総書記によるG20での演説に如実に表れているが、その中身を知る日本人にはほとんどいない。その演説は実に衝撃的なものだった。
習近平が世界に示した「野心」
「われわれは時代とともに前進することを堅持し、グローバルガバナンスを整備しなければならない。現在、経済のグローバル化には若干の曲折が出現し、いかにしてグローバルガバナンスを整備するかという時代の命題を我々には突きつけられている」
「G20は引き続きリーダーシップを発揮し、世界経済の開放的、包括的で、バランスの取れた、恩恵を広く享受できる発展を確保しなければならない」
中国はいま、関税交渉こそ落ち着き取り戻したとはいえ、ITはじめ知財分野でアメリカとの激しい貿易戦争が繰り広げている。ソ連崩壊以降の30年余り、世界の「G1」をほしいままにしてきたアメリカを全く無視する形で、堂々と「正論」を展開したのである。
思い出してほしい。こうした「正論」を発信して、世界の秩序を守ると宣言していたのは、バラク・オバマ大統領までのアメリカだった。その役割はいまや完全に中国が果たそうとしている。中国・習近平総書記は、アメリカに変わって覇権を握ったのは、中国であることを内外に示そうとしているのだ。