(塚田 俊三:立命館アジア太平洋大学客員教授)
今年4月、北京で第二回一帯一路フォーラムが開催された。37カ国の国家元首、100カ国の代表者の参加を得たこの会議では、百を超える多国間合意、二国間覚書が締結され、大きな成果を上げたとされる。
しかし、中国にとってこのフォーラムの真の狙いは、昨年来急速に高まってきた一帯一路に対する国際批判をかわすことにあった。
その手法は、会議ではグリーン・
批判に晒された一帯一路プロジェクト
確かに、昨年の一帯一路に対する国際社会の批判には極めて厳しいものがあった。即ち、昨年3月ワシントンのシンクタンクが一帯一路参加の8カ国が債務漬けの状態になっていることを明らかにして以来、経済性を度外視した巨大プロジェクトの押し付けや債務の罠等の問題が大きく取り上げられ、これを受けて、マレーシア、パキスタン、モルディブ、ネパール、ミャンマー等の諸国が、次々と一帯一路関連プロジェクトの見直しに着手すると宣言したのだ。
このような見直しの動きに対し、これまでの中国ならば、すぐさま反論に出るところだが、今回はそのような表立った反撃はせず、これらの国々との話し合いにも応じる姿勢を見せた。これは、中国国内においても、それまでの一帯一路には行き過ぎがあったことを認識しているからであり、また、自らも既に、国家国際発展協力署の設置など、組織の改編に着手していたからである。
しかし、注意しなければならないのは、だからといって中国は、途上国の要求に譲歩し、一帯一路関連プロジェクトの大幅見直しに応じるようなことはないということである。