(藤 和彦:経済産業研究所 上席研究員)
米WTI原油先物価格は乱高下しながらも1バレル=50ドル台後半で堅調に推移している
OPECとロシアなどの非OPEC産油国が協調減産の延長を決定したことや、米中首脳会談で貿易協議の再開が合意されたことなどがその要因である。
協調減産は9カ月延長
まずOPECの動きについて見てみよう。
OPECは7月1日、ウィーンの本部で定例総会を開き、今年(2019年)1月から実施している減産を来年3月まで9カ月間延長することを決定した。世界経済が鈍化し、米国の原油生産量が増加する状況下で、原油価格下支えの必要性から各加盟国の意見が一致した。安全保障面で激しく対立しているサウジアラビアとイランだが、原油供給に関しては「呉越同舟」のようである。
ロシアなども協調減産の延長に合意していることから、OPECが日量80万バレル(昨年10月の原油生産量がベース)、非加盟国が日量40万バレル減産するという現行の枠組みが今後も維持されることとなった。
延長期間が当初予想の半年ではなく9カ月となった理由は、原油需要が軟調となる1~3月期の相場を下支えする必要があるとの判断からである(7月2日付ロイター)。
ブルームバーグによれば、6月のOPECの原油生産量は前月比13万バレル減の日量3000万となった。各国別ではサウジアラビアが10万バレル減の日量973万バレル、イランが10万バレル減の日量228万バレルとなる一方、ナイジェリアは3万バレル増の日量189万バレルとなった。