韓国・ソウルの夜景

「まさか」の措置だった。日本政府が2019年7月1日、韓国への輸出規制強化を発表したことに対して、韓国の半導体業界は衝撃を受けている。

 取引先日本メーカーにも問い合わせが相次いだ。

「政府間の問題で民間企業が犠牲になるのはかなわない。実際にどこまで影響が出るか想像もつかない」

 韓国メーカーも日本の取引先メーカー関係者も頭を抱えている。

「今日は、ドナルド・トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長の板門店での『電撃会談』で大忙しなのに、予想もしてなかった別の大ニュースが飛び込んできて・・・あれは事実なんですか? 何か聞いてませんか?」

日本政府、半導体材料の対韓輸出規制へ 徴用工問題で対抗措置

元徴用工とその親族ら。韓国・ソウルの最高裁判所にて(2018年11月29日撮影、資料写真)。(c)Jung Yeon-je / AFP 〔AFPBB News

歴史的な米朝会談の日に

 2019年6月30日夕方、筆者に知人の韓国紙部長から電話がかかってきた。

 何のことかと思っていたら、「産経新聞」が「半導体材料の対韓輸出を規制」という「特ダネ」報道をしていたのだ。

 事情など知るはずもない筆者にまで電話をしてきたということはよほど、取り乱していたのだろう。

 逆に、「業界は大変なのか?」と聞いたら、「サムスン電子もSKハイニックスも、幹部が集まって情報収集と対応に追われている。トランプ大統領の話どころではない」という答えだった。

 韓国紙デスクによると、「韓国メーカーの担当者は徹夜で対応策つくりに追われていた」という。