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(数多 久遠:小説家・軍事評論家)
2019年6月13日、ホルムズ海峡付近で石油タンカー2隻が攻撃を受けました。そのうちの1隻は日本の海運会社が運航するタンカーでした。まだ情報は少ないものの、このタンカー攻撃についてかなりのことが判明してきました。
以下では、軍事的な観点をベースに、誰が、なぜこのようなことを行い、何を狙っていたのか、5つの疑問に答える形で考察してみたいと思います。
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【1】攻撃に使用された武器は?
当初、魚雷や砲撃という情報もありましたが、使用された4発(2隻に2発ずつ)の内の1発が不発となったことから、吸着機雷(リムペットマイン)であったことがほぼ確実です。
攻撃を受けた2隻とも、片舷の中央と艦尾付近という非常に計画的な攻撃を伺わせる位置であることからも、間違いありません。ミサイルであれば、このような偶然が起きる可能性は、恐らく万に一つもありませんし、砲撃だったのなら、攻撃した船舶が発見されているでしょう。
吸着機雷は、ダイバーが停泊している船の船底に爆薬を取り付け、離れてから爆発させることで船を沈める水中兵器です。ただし、今回は喫水線上に取り付けられました。これは航行中では船底にダイバーが取り付けることが不可能であったことが1つの理由でしょう。
不発となった現物が回収されていれば、どのようなタイプの吸着機雷が使用されたのか明確になるところでしたが、事件発生日の夜に、何者かが回収してしまいました。