それは、安倍首相への熱烈な歓迎ぶりを見ても容易に理解できるでしょう。イランの穏健派を中心として、安倍首相が双方の対立を収めてくれることを願っているのです。
しかし、それを良しとしない強硬派は存在します。彼らが、安倍首相による仲介に対して、警告を与える意図で今回の攻撃を行ったことは、十分に考えられます。そして、実際にそうした思想の持ち主が、革命防衛隊の構成員には多いのです。
吸着機雷が喫水線のかなり上に取り付けられていたのも、必要以上の被害は与えずに警告を与える目的だったと考えれば理解できます。攻撃が行われたタイミングが安倍首相の訪問時だったことも、やはり警告として理解すべきでしょう。
【5】アメリカと日本はなぜ“様子見”なのか?
今回の攻撃に対して、日本政府はもとより アメリカもイランによるものだとして非難しています。とはいえ、タンカー攻撃という非常に危険な軍事行動であるにもかかわらず、それほど強い調子で非難はしていません。
タンカー攻撃が革命防衛隊の一部強硬派による警告だったとしても、それはイラン指導部の考えとは言えません。それどころか、この攻撃による国際的なイラン批判が、イラン国内の穏健派、強硬派の綱引きに影響を与える、それも良い方向に影響を与える可能性も考えられます。
現在は、証拠を小出しにしながら、イラン指導部の反応を伺いつつ、穏健派が強硬派を抑えることを期待しているのではないかと思われます。
しばらくは、情勢を注視する必要がありそうです。