イランがシラを切り続ければ、これらも公開されるかもしれません。6月14日、シャナハン米国防長官代行は、関係国に機密情報の開示を行う可能性について言及しています。

 また、産経新聞が掲載した元イラン革命防衛隊司令官であるホセイン氏のインタビューでは、ホセイン氏は、イラン南東部を根拠地とする反政府組織「ジェイシ・アドリ」などが攻撃した可能性を指摘していますが、これは不発弾を回収したボートがイランの港まで追跡されたことを認識した上での発言でしょう。

【3】攻撃者は誰か?

 米軍による映像公開も含め、アメリカの陰謀だとする方もいますが、その可能性はまず考えられません。であるならば、上記の不発弾回収を行ったボートが追跡されたことを踏まえ、攻撃者はイラン国内の誰かだと言えます。

 相当の軍事能力を持つという点を踏まえれば、候補は、イラン軍、革命防衛隊、「ジェイシ・アドリ」などの反政府軍事組織しかありません。

 イラン軍と革命防衛隊の違いを知らない読者もおられると思うので、簡単に解説しておきましょう。

 イラン軍は、イランの正規軍であり、自衛隊や米軍などと同列の存在です。

 特殊なのは、革命防衛隊です。革命防衛隊は、正式にはイスラム革命防衛隊と呼ばれる軍事組織です。革命防衛隊は、ホメイニ師らによるイラン革命の後に創設されました。その目的は、パーレビ国王の影響が抜けていないイラン正規軍によるクーデターから革命後の体制を守るためでした。

 他の国の内務省軍や軍警察のように国内の治安維持や他国からの干渉を防ぐ意図で国境警備なども行っていますが、正規軍のクーデターを防ぐという目的もあって、創設以後、拡大が続き、現在では正規軍と大差ない装備を持つようになっています。

 ただし必ずしも戦力として強力というわけではありません。報道では、「精鋭部隊」などと報じられることもありますが、ホメイニ師や、その弟子である現在のイランの最高指導者であるハメネイ師などに対して強い忠誠心を持っていることを指してそう呼ばれると捉えてよいでしょう。