6月、梅雨の季節がやってきた。じめじめと湿度の高い日は、なんとなく体の調子も悪くなる。そんなときは消化のよいものを食べよう。でも、「消化がよい」とはどんなことなのだろうか。
「体によい」ので「食物繊維は消化によい」という誤解も
風邪をひいたときやおなかの調子が悪いときは、消化のよいものを食べたい。そんなときの定番の食べものは、お粥やうどんだろう。一方、消化が悪い食べものといえば、揚げものや肉に加え、海藻やキノコ、こんにゃくなど食物繊維の多い食品が挙げられる。
食物繊維は「ヒトの消化酵素で消化されない成分」を指す。消化が悪い食べものの代表だ。ところが、学生に「消化のよい食べものには何があるか」と聞いたら、「食物繊維」という答えが結構あり、びっくりした。どうやら「消化がよい」には「体によい」というイメージが伴い、「食物繊維は体によいのだから、消化もよい」と考えているようだ。
炭水化物、タンパク質、脂肪の三大栄養素は高分子であるため、そのままでは吸収されにくい。そのため小さい分子に分解する必要があり、その過程を「消化」という。
食べたものを消化し、吸収するという生命を維持するための重要な役割を主に担っているのは、消化管だ。口から肛門までの体の中心を通る一本の管をいう。
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口から食べたものは食道を通り、胃にためられる。胃では胃酸や消化酵素を含む胃液が大量に分泌される。胃液は、胃が波打つように収縮する蠕動(ぜんどう)運動によって食べたものと混ぜ合わされ、どろどろになって十二指腸へと送られる。
十二指腸や小腸でもさらに消化液が分泌され、食べものは吸収されやすい形にまで分解される。主に小腸で分解された食べものから栄養分が吸収される。
大腸では、残りかすから腸内細菌のはたらきでさらに分解が進む。水分が吸収され、便が作られる。