生卵と半熟卵と固ゆで卵、消化がよいのはどれ?

知らないことだらけの「食べものが吸収されるまで」

2019.06.07(Fri)佐藤 成美

消化酵素が作用しやすければ消化時間が短くなる

消化のよい食べものとされるお粥。材料は同じ米であっても、調理の仕方により消化のされ方が違ってくる。

 食べものを加熱すれば、消化がよくなる。これは、加熱すれば、食べものをかみ砕きやすくなり消化率が上がるためと、加熱によって、食べものの構造や成分の状態が変化し、消化酵素が作用しやすくなるためだ。消化酵素が作用しやすければ消化時間が短くなる。

 デンプンを水とともに加熱すると、デンプンの構造が変化し、食べやすく、かつ消化酵素が作用しやすい構造に変化する(糊化という)。ご飯を炊くというのは、米のデンプンの構造を変化させていることなのである。水の量を増やしてお粥にすればさらに糊化が進む。

 タンパク質も加熱すると構造が変化し(変性という)、消化酵素が作用しやすくなり、消化がよくなる。そのため、タンパク質を多く含む卵は、生卵より、加熱して半熟卵やゆで卵にしたほうが消化がよい。面白いのは、半熟卵のほうが固ゆで卵より消化がよいことだ。どちらも加熱によりタンパク質が変性しているが、固ゆで卵は完全に変性し、凝固してしまうためかえって消化が悪くなる。

 タンパク質にもいろいろな構造があり、タンパク質でできた食べものも多様だ。中でも牛乳は加熱しなくても消化がよい。牛乳に含まれるカゼインというタンパク質は熱変性しにくいが、酵素の作用を受けやすい構造をしているからである。ただ、乳糖を分解する酵素の働きが弱い人は、牛乳を飲むとおなかがゴロゴロしたり、下痢をしたりする。

 脂肪の消化が悪いのは、水に溶けず、消化酵素の作用を受けにくいためである。炭水化物はだ液に含まれる酵素によって、またタンパク質は胃液に含まれる胃酸や酵素によって、分解が始まったのち、十二指腸へ送られる。ところが、脂肪はほとんど分解されないまま送られる。十二指腸で胆汁と混ざり、乳化されることでようやく酵素の作用を受けることができる。

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