後を引く美味! シンガポールの“魚の頭”カレー

世界に広がる「フィッシュヘッド」の食文化

2019.04.05(Fri)佐藤 成美

だしになる成分が頭にたっぷりと

 なぜ魚の頭を捨てずに食べるのか。それは、おいしいからである。そして、魚をよく食べる民族は、そのことに気付いている。

 魚の頭がおいしいのは、魚の頭の複雑な構造によるものだ。頭は皮と頭蓋骨で覆われており、その中に筋肉や脳が詰まっていて脂肪分が多く含まれる。このような複雑な構造をしているから、煮込めば、骨や筋肉からたっぷりとだしが出る。皮から溶け出るコラーゲンや脂肪分がコクを出す。

 また、えらや口を常に動かしているので、それらの周りの筋肉は発達している。ほほ肉やかまがおいしいのは、よく動かす筋肉であるがゆえに身が締まっているから。筋肉の筋原線維の方向も体の部分と異なる方向を向いているので、食べたときのくずれ方も異なり、食感を楽しめる。

 さらに、脂肪分が多いので濃厚だ。通に好まれる目玉のまわりは、ゼラチン質でプルプルしておいしいといわれる。ビタミンAやDHA(ドコサヘキサエン酸)の宝庫でもある。

無駄にしないで工夫する

 シンガポールでは、魚の頭を無駄にしないでカレーにしたら、フィッシュヘッドカレーなる名物料理が生まれた。

 日本でも大分県竹田市に「頭料理」という郷土料理がある。頭をはじめ内臓や皮など部分ごとに湯引きして、ポン酢で食べるというもの。海から遠く離れた町では魚は貴重品で、庶民には高嶺の花だった。そこで庶民でも手が届く頭や内臓をおいしく食べようと工夫されたものだ。このような料理は世界中にあるのだろう。

 それにしても、フィッシュヘッドカレーはさまざまな食文化が融合したシンガポールらしい食べ物だと感心する。シンガポールに行く機会があったら、ぜひお試しいただきたい。

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