後を引く美味! シンガポールの“魚の頭”カレー

世界に広がる「フィッシュヘッド」の食文化

2019.04.05(Fri)佐藤 成美

魚の頭を食べる国は世界のあちこちで

 シンガポールには中国南部から来た人が多く、ホーカーズの屋台の人も「シンガポールの料理は福建や潮州、広東、客家、海南料理の影響を受けているんですよ」と話していた。

 実際、中国や香港では、魚の頭を蒸してやわらかくし、スープにして食べる料理がある。湖南料理では「剁椒魚頭」という魚の頭を煮込んだ辛い料理が有名だ。広大な中国には多様な食文化があるが、湖南料理は湖南省の郷土料理で、中国8大料理のひとつ。唐辛子を使った辛い料理として有名だ。また、台湾では、揚げた魚の頭を入れた「砂鍋魚頭」という鍋料理もある。

 そのほかの国に目を向けてみると、バングラデシュには「ムリゴント」という魚の頭の料理がある。魚の頭を、地域によりジャガイモや豆あるいは米と煮込んだカレー料理だ。また、イスラエルでは、ユダヤ教のお正月で魚の頭を煮付けた料理を食べる。

 日本では、鯛のかぶと煮など鯛の頭をよく食べる。インターネットで鯛の頭の料理のレシピを検索すると、酒蒸し、オイル煮、鯛めしにお頭スープなど、いろいろな料理が出てくる。そのほか、ブリやマグロなど、大きな魚の頭はよく食べられる。頭全体ではなく、塩焼きにして魚のカマだけ、ほほ肉だけなどを食べることもある。北海道や新潟では「氷頭(ひず)なます」という鮭の頭の軟骨を使った料理もある。

 欧米でも、フランスのブイヤベースやイタリアのフメット・ディ・ペッシェなどの料理では、魚の頭をはじめとするアラを煮込んでだしをとる。「アクアパッツア」のように、魚を丸ごと蒸し煮にしてだしを味わうものもある。ただし、魚の頭に対する価値観は国により異なるようで、オーストラリア人に魚の頭を食べたことがあるかと尋ねると、「捨てるものだ」とあっさり返された。

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