「社員全員が幸せな職場」へ
このような採用スタイルをとる背景には、GRITの掲げるふたつの理念がある。ひとつは本業の「世界一英語が伸びるサービス」、そしてもうひとつが「社員が幸せな職場」だ。
「創業時、私たち自身が周囲を見たときに、仕事が楽しいと言っている人が少ないと感じていたので、そこを解決したいと思いました。また、サービス業界は一般的にブラックだと言われ、給料は低く、労働時間も長く、仕事のやりがいも感じられないなど、構造的な問題を抱えていました。自分たちがやるのなら、そこで働く人たちが『今日も会社に来たい』と思えるような会社を作ろうと考えたのです」(山碕氏)
そのような理念に基づき、創業した時点からこのスタイルの採用面接を続けている。その採用活動と組織運営の間には、密接な相互関係があると山碕氏はいう。
「社員が楽しく働いているのが面接で志望者に伝わり、それに共感した人たちが入ってきてくれるので、会社はより働きがいが生まれてきます。逆に、入社した後がつらい環境だったら採用活動もうまく行かないでしょうし、採用がうまく行かないと社内の空気も悪くなっていくでしょう。両輪が大事なのだと思います」(山碕氏)
2016年9月に山碕氏が社長の岡田氏と2人でスタートしたGRITは、2017年8月の時点で社員13人に。そして2018年8月末には88人に増え、2019年4月現在で120人ほどに到達した。今後も採用を続け、規模の拡大を図っていく。
「人数が増えていくと、今まで大事にしてきたものが薄れていくこともあるかもしれません。それでも、みんなが一緒に働きたいと思う人を、今後も採用し続けたいと思います」(市丸氏)
事業の拡大に伴い、ビジネスもさまざまな局面を迎えることになるだろう。それでも、掲げた2本の柱は守り続けると、山碕氏は力強く語る。
「『社員が幸せな職場』を作るというのは、自分への、そして社員の皆への約束でもあります。そして、この目標を掲げたことが一番大事だと思っています。掲げた瞬間からやらなくてはいけなくなるので、他の会社はこのような目標はまず掲げません。掲げないのほうが楽ですから」(山碕氏)