田原 大島さんの会社にはスタッフは何人いるんですか。

大島 現在は14人です。

「事務所の広さだけはパパに勝っているわね」

田原 そのメンバーで、テレビや映画を作り、そして作った後の営業までやっているわけだ。

大島 ええ。スタッフを抱えているのである程度は稼がないといけません。ですから、テレビ番組の制作である程度利益を出し、時々映画も作るという感じです。とはいえ映画作りを「社長の道楽」にしちゃいけないので、こちらでもちゃんと黒字が出るようにしないといけないと思っています。

田原 映画はもちろんテレビでも、かつてに比べてドキュメンタリーを作る人材がどんどんいなくなっていると思うけど、大島さんみたいな人がなんとか支えているというわけなんだね。

大島 そう言ってもらえるとありがたいですが、地方のテレビ局などにも非常に刺激的なドキュメンタリー番組を作っているディレクターがいます。まだまだ面白い世界だと思います。

田原 それにしても、経営的には楽じゃない中で、14人もの社員を支えて、よくやっていますね。

大島 なんとなくやってこられただけですが、うちの母には「あなたは仕事の面でパパに全然及ばないけれど、事務所の広さだけは勝っている」と言われます。

田原 そうか。大島渚さんの事務所ってスタッフは多くなかったもんね。

大島 そうですね。父の事務所も僕の会社と同じ赤坂にありましたが、雑居ビルの中の狭い一室でしたね。

田原 ドキュメンタリー映画は海外に出したりはしないんですが。

大島 1本出したことがあります。『ラーメンヘッズ』という最初から海外を狙って作った作品ですが、日本のクレイジーなまでのラーメン文化をドキュメンタリーにしたものです。ミニシアターですが、アメリカ30都市で公開されました。それまでに日本のドキュメンタリーでそんなに上映された作品はありませんでした。

田原 成功だったわけですね。

大島 そうですね。ちょっとお金がかかりすぎた面はありましたが、高く評価してもらいました。

田原 じゃあこれからも海外は狙っていく?

大島 そうですね、作品にもよりますけど。まあ焦らずに、1つずつ丁寧に作っていきたいなと思っています。

田原 頑張ってください。