今年は日中平和友好条約を締結してから40周年で、記念式典などのために安倍晋三首相は26日に訪中する。
国際会議以外で日本の首相が中国を訪問するのは2011(平成23)年12月以来、約7年ぶりである。
隣国でありながらこれだけ長い間相互訪問がなかったのは、主として中国側の経済発展による軍事力増強を背景に、傍若無人的な行動が目立ち両国関係が冷え込んでいたからである。
しかし、中国が「新常態」と言いくるめて国際情勢認識を糊塗し始めた数年前から、経済成長にも陰りが見え始めた。
そして決定打となっているのが「アメリカ・ファースト」「メイク アメリカ グレイト アゲイン」のスローガンの下、国益優先を提げるドナルド・トランプ大統領の登場と、貿易戦争とまで呼ばれる米中関係の悪化である。
米国の対中関税で苦悩する中国
トランプ大統領は就任後のほぼ1年間、北朝鮮の核・ミサイルが懸案で中国の協力を必要としたことから対中貿易赤字問題を表立って取り上げることはなかった。
習近平主席もトランプ大統領の初訪中では、国民を締め出して故宮を自ら案内するなど最大の敬意を表し、また航空機購入など多額の約束で一時的な満足を与えた。
しかし、11月の中間選挙を意識するトランプ大統領が懐柔されることはなかった。
北朝鮮の金正恩労働党委員長との首脳会談でCVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)には至らなかったが、会談続行中はミサイルの発射中止や核施設の破壊約束などで暴走を抑え込むことに成功した。
2014年頃から中国の経済には陰りが見え始め、一時は4兆ドルあった外貨準備高も2015年は約5000億ドル、続く2016年も約4000億ドル減少したとも言われる。
それでも、なお対中貿易の赤字は拡大し続けてきた。この結果、トランプは中国に正面から立ち向かうことにし、当初は340億ドルを対象に25%の関税をかけることにした。
中国がすかさず対抗措置をとると、次いで160億ドルに拡大した。中国も同額の商品対象に対抗してきたため、米中貿易戦争と言われる状態となる。