露中が意図する「新しい世界秩序」

 ロシアと中国が置かれている経済環境は厳しくなっている。ロシアはクリミア半島の不法併合で、2014年3月のハーグ〈オランダ〉で緊急に開かれた首脳会議でのハーグ宣言に基づき、先進国首脳会議(G8)から排除された。

 ハーグ宣言は「クリミアを併合しようとするロシアの違法な試みを非難し、これを承認しない」として「明白な国際法違反は世界中の法の支配に対する深刻な挑戦で、すべての国にとって懸念すべきだ」と強く批判した。

 そのうえで「ロシアが引き続き現状をエスカレートさせる場合、制裁を含む行動を強化する用意がある」とし、実際に経済制裁を受けている。

 他方、中国は南シナ海に勝手に引いた九段線以内を古来から中国の海であるとして埋め立て、滑走路の敷設や各種ミサイルを配備してきた。

 これに対し、ハーグの仲裁裁判所は2016年7月、フィリピンが提訴していた南シナ海問題に対し、「九段線には法的根拠はない」「管轄権に対する中国の歴史的権原は認められない」と裁定した。

 提訴の大部分が認められ、中国側が大敗した。

 また仲裁裁判所は、岩や低潮高地などの「岩礁を埋め立てた7つの人工島は『島』ではない」として、EEZ(排他的経済水域)の設定ができないことも明示した。不服とする中国は判決を「紙屑」と唾棄し、いまだに反省の色も示していない。

 東シナ海の日中中間線周辺におけるガス田採掘問題では日中両国間の約束を歯牙にもかけない態度で一方的に試掘作業を続けている。

 また、争う余地もない日本の尖閣諸島に関してさえ、軍事力を背景に接続水域進入は常態化し、領海侵犯も時折行ってきた。

 こうした露中の横暴、中でも中国の傍若無人な振る舞いや、開発途上国を債務超過に追い込む新植民地主義的な行動が批判を浴びている。

 「GDPで米国を凌駕する」、「世界一の強軍国家になる」、「民主主義国家と異なる価値観の社会主義国家の先頭に立つ」などは、パックス・アメリカーナを自認してきた米国、そしてアメリカ・ファーストを呼号するトランプ大統領が看過するはずもない。

 さらに大きな視点に立つならが、17世紀以降、国際社会が遵守してきた主権国家を柱とするウェストファリア体制(1648年条約制定、近代における国際政治の基本型)を崩壊させようとする世界秩序の組み換えにほかならない。