これまでこれといった「失政批判」を浴びたことがない文在寅政権にとって、最低賃金引き上げは、初めて「強い批判」に見舞われた政策になる。
10年で2倍、日本超えもすぐそこに
それにしても韓国の最低賃金は、1円=10ウォンで計算すると、835円になる。2017年秋の改定で日本の全国平均の最低賃金は848円になった。
2010年には4110ウォンだった最低賃金が、2019年に8350ウォンになるということは、10年間で2倍ということだ。すさまじいペースではある。
日本の場合、「年率3%」前後の引き上げを続けている。韓国が2桁、日本が3%の引き上げを続けると、2020年1月に日韓逆転となる(同年秋に日本が再びわずかに上回る可能性もあるが)。
ある韓国の製造業役員はこう話す。
「他の賃上げ交渉にも影響する。すでに自動車産業など一部製造業の正規職の賃金は日本企業よりも高い。これ以上、人件費が上昇すると、どうやって競争力を維持するのか」
「一方で、深刻な格差を是正しなければ、大企業や財閥に対する批判もなかなか消えない。この2つの難題をどうやって解決していくのか」
「外交安保北朝鮮」で高い支持率を維持してきた文在寅政権にとって「経済」という難題も待ったなしだ。