2018年7月14日未明、韓国の雇用労働部の所属機関である「最低賃金委員会」は、2019年の法定最低賃金を今年よりも10.9%引き上げて8350ウォン(1円=10ウォン)とすることを決定した。
文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権は、「2020年最低賃金1万ウォン」を公約に掲げてきた。2年連続で2桁引き上げだが、労使ともに猛反発している。
就任以来、70%という高い支持率を維持してきた文在寅政権にとって、幅広い批判に直面する初めての試練ともいえる。
文在寅大統領、公約履行できず謝る
「最低賃金委員会の決定によって、2020年までに最低賃金を1万ウォンにするという目標が事実上難しくなった。結果的に選挙公約を守れずないことをお詫びしたい」
7月16日、青瓦台(大統領府)で開いた首席秘書官・補佐官会議で文在寅大統領はこう語った。
さらに「できるだけ早い時期に1万ウォンを達成できるように努力する」とする一方で、「政府は、最低賃金引き上げによって零細自営業者と小規模商工業者の経営が打撃を受け雇用が減少しないように、資金面だけでなく、商店賃貸者保護や合理的なカード手数料と加盟店保護など必要な補完対策を準備したい」とも続けた。
何となく、双方に配慮して、歯切れが悪いのは、1つの政策について、賛否両陣営から全く正反対の理由でこれほど批判を浴びたこともなかったことに加え、これといった明確な政策を打ち出すことも難しいからだろう。
それほど双方から批判を浴びた
経営者側は、中小零細企業や大企業といった企業規模にかかわらず、「2桁の引き上げ」に強く反発している。
特に、全国規模の中小零細企業の団体やコンビニチェーンのフランチャイズオーナーなどは、「死活問題だ」として「政府の方針への不服従」を宣言した。
コンビニ店主などは「深夜時間帯の値上げ」や「深夜時間帯には手数料が発生するカードでの決済拒否」などの反対行動の準備にも入った。