高い支持率、初めての試練

 「現在のわが国の所得分配や経済両極化の問題を考えると、最低賃金引き上げの必要性はある。だが、急速な引き上げは下期の経済運営に負担になる」

 7月16日、金東兗(キム・ドンヨン=1957年生)副首相兼企画財政部長官は、急遽、李柱烈(イ・ジュヨル=1952年生)韓国銀行(中央銀行)総裁と朝食会を開き、経済情勢などについて意見交換をし、記者団を前にこう語った。

 金東兗副首相は最近、「最低賃金引き上げの速度調整」を繰り返し述べてきた。この日の発言は、政府の経済政策の責任者も、最低賃金引き上げペースに懸念を表明したことを意味する。

 「官僚出身の金東兗副首相は現実の経済をよく理解している。学者出身のブレーンが『所得主導成長論』を前面に掲げることへの懸念を強めている」

 韓国紙デスクは、こう話す。

高い支持率だが、「経済」への不満も

 文在寅大統領にとっても頭の痛い問題だ。

 2017年5月に就任以来、北朝鮮との関係改善などで国民から高い支持を得ている。7月第週(10~12日)の韓国ギャラップ研究所の世論調査でも「大統領が職務をうまく遂行している」という支持率が69%という高さだった。

 ところが、高い人気の一方で「経済政策」ではこれといった成果が出ていない。

 数少ない「成果」が最低賃金の引き上げだったが、今やこの政策が「高い失業率の原因だ」という批判も出てきた。

 ギャラップ研究所の世論調査でも、「大統領が職務をうまく履行していない」との回答者にその理由を聞いたところ、45%が「経済」を挙げた。圧倒的な高さだった。