労組は「公約違反」と批判
これに対して、全国民主労働組合総連盟(民主労総)など労働組合は、「大統領の公約違反だ」と強く批判している。
文在寅大統領は、2017年の大統領選挙で「2020年に最低賃金を1万ウォンに引き上げる」ことを目玉公約にしてきた。この公約を達成するためには、2020年に最低賃金を20%引き上げる必要がある。
2019年の最低賃金が10.9%の引き上げだったことは、「2020年に1万ウォン」という公約を断念することを意味する。だから、大統領も、選挙で全面的に支持してくれた労組などを意識して、謝罪したのだ。
労働側は、「約束違反」だとして反発したが、もちろん、雇用者側に比べると、それほど怒りは大きくはないはずだ。
労組側のホンネは「2桁に乗ってほっとしている」(韓国紙デスク)という見方もある。
大統領は「公約断念」を謝罪したが、経営者側からは「有給手当てなどを加算すると、今回の引き上げで実質的に最低賃金は1万ウォンを超える」という反論も聞こえる。
難航を重ねた算定
2019年の最低賃金の決定作業は難航を重ねた。
最低賃金委員会は、経営者側9人、労働側9人、公益委員と呼ぶ本来は中立的であるはずの委員9人の合わせて27人で構成する。7月14日という決定期日を前に、激論が続いた。
中小企業や零細企業の団体の代表者である経営者側委員は、「2年続けての大幅上昇はとても受け入れられない」という主張だけでなく、「全国全業種一律」という最低賃金制度のあり方を変えるように求めた。
特に「業種ごとの状況を勘案して最低賃金を一律ではなく、業種別に設定して欲しい」と求めた。