「私は今日宣言したい。将来はブランド会社になる。もう液晶の会社ではない。これが私のビジョンだ。液晶とエレクトロニクスデバイス等は、ブランドを支える武器です。だから、人材も急いで募集しないといけない。ソフトウエアやIT関連の人材を募集する。12月からNHKの8K放送が始まる。今でのシャープを技術拡大し、グローバル展開したい」

 戴社長が示した明確なビジョンと力強い物言いに、株主は信頼を寄せたように感じられた。

社員寮暮らしの戴社長

 一方、復配とは言いながら、昨年の株主総会で決議された株式併合の影響で持ち株数が減少した株主からは、6年前と比べて配当金が5分の1になっているのに、取締役と監査役の報酬を上げることに反対する意見も出た。

 これに対して戴社長は毅然と述べた。

「私は、昨年の報酬はゼロです。利益が出れば報酬を得る。『有言実行』である。本当は、私ももらいたくない。でも、会社の運営を正常化しないといけない。次になる社長は、給料をもらいます。給料をもらうのは当たり前だからです。2020年3月に私が辞めても、次の社長が報酬をもらえるように、報酬を受け取ります」

 戴社長の「経費削減」は徹底している。戴社長自身がこれまで報酬ゼロだったし、日本での住まいはシャープの社員寮だ。風呂・トイレ共同の環境で生活しているという。

 その中で、前期決算で702億円という4年ぶりの最終黒字という結果を出した。

 その「有言実行」の戴社長に理路整然と説明されたら、株主は納得してしまう。

 結局、議案はすべて賛成多数で可決された。この総会に要した時間は約1時間だった。総会にも無駄な時間は割かない、という意思が感じられた。

株主と握手して回る戴社長

 総会終了後に、想定外のことが起こった。