ゲノム編集は遺伝子組換えか? 世界的な争点に

「新しい育種技術」の可能性と課題(後篇)

2016.12.23(Fri)漆原 次郎

立川 けれども、NBTを従来の遺伝子組換え生物の規制対象にすることが“妥当である”とする判決が出た国も現れています。ニュージーランドです。

 ニュージーランドでは、ゲノム編集を行った生物の規制上の取り扱いを巡って、政府と非政府組織(NGO)の間で裁判になりました。ジンクフィンガー・ヌクレアーゼやTALEN(タレン)というゲノム編集技術を用いて作ったマツを巡って、同国の「有害物質・新生物法」の規制対象外であるとの決定を下していた政府に対して、NGOが異議申し立てをしました。そして、2014年5月に判決でNGOが勝訴したのです。

――この場合、ゲノム編集が規制対象に当たると判断されたわけですね。判断の理由はどのようなものですか。

立川 ポイントを言うと、争点となったジンクフィンガー・ヌクレアーゼやTALENは新しい技術であり、まだ十分な知見と経験の蓄積がなされたといえず、遺伝子組換えの規制から除外する技術とするのは妥当ではない、ということです。

――ニュージーランド政府は判決にどう対応したのですか。

立川 この判決を受け入れ、“非遺伝子組換え”扱いとする技術を明確にするなど、関連法制の見直しを進めています。

――他の国で、注目すべき動きはありますか。

立川 アルゼンチンでは、先ほど紹介したニュージーランドとは対照的な対応がとられています。

 アルゼンチンの農牧水産省は、2015年5月にNBT由来の作物について「事前相談手続き」を定めました。「外来遺伝子が存在しているか」と「中間段階で外来遺伝子を組み込んだか」について、2つとも「ノー」とされれば“非遺伝子組換え作物”と見なされます。さらに「イエス」であっても、「最終製品において外来遺伝子が除去されているか」について、科学的知見に基づき「イエス」と答えられれば、その製品は“非遺伝子組換え作物”扱いされます。

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