ゲノム編集は遺伝子組換えか? 世界的な争点に

「新しい育種技術」の可能性と課題(後篇)

2016.12.23(Fri)漆原 次郎

立川 ええ。けれども、それですぐ決着するわけではありません。どんな解釈であっても、反対者から提訴される可能性がありますから。提訴された場合、欧州司法裁判所からの最終審決がなされて初めて法律上の解釈が確定することになります。

――米国の状況はいかがですか。

立川 ゲノム編集などの新たな育種技術を用いて作り出した生物が規制対象かどうかは、米国でもまだあいまいです。開発者たちは、個別に関係省庁に問いあわせを行っているものと考えられます。

――民主党のオバマ政権から、共和党のトランプ政権に変わることで影響が生じる可能性はありますか。

立川 はっきりとは分かりませんが、大きな変化はないと思われます。米国の現在のバイテク規制は、そもそも共和党のレーガン大統領政権時に形成されたものです。産業振興を優先させる方針は、政権が変わっても継承されてきました。

――日本についていかがでしょうか。

立川 NBTの各技術がカルタヘナ法に定める遺伝子組換え技術に含まれるかどうか、関係省庁間での検討が進められていると考えられます。今は各省庁が海外の情報収集などを行っている段階であり、政府としての明確な方針は定められていません。

 当面は個別の判断がなされていくでしょう。実際、新しい育種技術の1つである「種子生産技術」を利用して作られたトウモロコシを巡って、商業栽培される最終栽培物については“非遺伝子組換え作物”だと判断されました。

NZとアルゼンチンで対極的な規制判断も

――まだ国や地域としての大きな判断はあまり下されていないものの、個別には“非遺伝子組換え”とみなす事例が上がっている傾向のように見受けられます。

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