企業の商品企画担当者やマーケターが壁に突き当たっている。「絶対に売れる」と自信をもって売り出した商品が売れないのだ。
綿密な市場調査を行い、「顧客が求めているのはこれだ」という確信のもと、膨大なリソースを費やして新商品を開発。テレビ、新聞からウェブ、店頭まで大々的なプロモーションを展開して市場に送り出す。ところが最初だけ話題になるものの売れ行きは先細り、いつの間にか姿を消していく。そんな商品がいかに多いことか。
「千三つ(せんみつ)」(1000の新商品を出しても3つしか当たらない)という言葉もあるように、ヒット商品開発の難しさは今に始まったことではない。しかし、長引く景気停滞、高齢化と消費の成熟化などによってますますモノが売れなくなっている。さらにはインターネット、SNSの普及によって消費者の接する情報が爆発的に増加、多様化し、企業の発信する情報が消費者に届かないという状況がある。
厳しさを増す一方の市場環境の中で、マーケターはどのような手を打てば、新たな需要を創造することができるのか。
マーケティングコンサルティング会社、インテグレートの藤田康人CEOは、著書『カスタマーセントリック思考 ─真の課題発見が市場をつくる』(宣伝会議、三宅隆之氏・村澤典知氏と共著)の中で、今こそ「カスタマーセントリック(顧客中心主義)」という思想を企業内でしっかり共有することが必要だと説く。