トランプ氏、戦没者遺族を繰り返し批判 党内外から非難の嵐

米ペンシルベニア州フィラデルフィアで開催された民主党全国党大会で、イラクで死亡した息子について演説し、米憲法の冊子を掲げるキズル・カーンさんと、妻のガザラさん(2016年7月28日撮影)〔AFPBB News

トランプを刺した「戦死した息子を持つイスラム教徒の父」

 米民主、共和両党の全国党大会が終わり、民主党はヒラリー・クリントン氏、共和党はドナルド・トランプ氏の両大統領候補が正式に決まった。

 11月8日の大統領選投開票日まであと100日弱。本選挙に向けた両陣営のキャンペーンが激しさを増す。

 民主党大会ではバラク・オバマ大統領夫妻、ビル・クリントン元大統領らが次々と演壇に立ってヒラリー氏応援演説を行い、やんやの喝さいを浴びた。

 そうした「重量級スピーカー」と勝るとも劣らぬスピーチをしたのは、イラク戦争で戦死した息子を持つパキスタンからの移民でイスラム教徒の父親だった。

 「トランプさんよ、あなたはこれまで米国憲法を読んだことがあるか。憲法は全米国民の自由と権利を保障している」

 「トランプさんよ、あなたはアーリントン墓地に行ったことがあるか。墓地には米国を守るために戦死した兵士が眠っている。その兵士たちは人種も宗教も異なる者がいる。少数民族もいる。みな米国のために犠牲になったのだ。あなたはこれまでに一度たりとも国家のために犠牲を払ったことがあるか」

「大年増の厚化粧」vs「愛国シンボル冒涜」の代価

 共和党の有力議員はもとより保守系の政治評論家たちまで絶賛した。ところがトランプ氏はこの演説に反論した。翌日の遊説演説でトランプ氏はこう毒づいた。

 「あの父親のスピーチはどうせヒラリーが雇ったスピーチライターに書かせたものだろう」