ヒラリー当選の確率は89.2%に
まだ大統領選投票日まで150日あるというのに、米国内には「史上初の女性大統領」を想定内のこととして受け止める空気が広がっている。
過去の大統領選結果を的中させてきた選挙専門メディア「ファイブ・サーティ・エイト」(Five Thirty Eight)のネイト・シルバー氏は、8月12日段階で、ヒラリー・クリントン氏が大統領になる確率は89.2%との予想を打ち出した。
選挙人数548人中369.3人を獲得し圧勝するというのだ。
「史上初の女性大統領」を誕生させる米国にとって今回の大統領選はどのような意味を持つのだろうか。
米主要シンクタンクの上級研究員の1人は筆者に興味深いコメントをしてくれた。「2016年の大統領選は、『分裂国家』を象徴する、三つ巴ならぬ四つ巴の内戦だった」と。
同研究員によれば、「四つ巴」とはこういうことだった。
民主党サイドでは――。
1.クリントン氏が主張するバラク・オバマ政権の継続と安定を求める党内エスタブリッシュメント(既成権益勢力)+オバマ路線を継承したいリベラル中道勢力。
2.1930年代の伝統的な民主党のリベラル路線への回帰を目指すリベラル改革派勢力+ミレニアム世代の理想主義的リベラリル勢力。バーニー・サンダース上院議員を支持し続けた原動力だ。
それがクリントンvsサンダースの対決構図だった。
共和党サイドでは――。
3.ホワイトハウス奪還を目指す共和党党内エスタブリッシュメント+東部白人エリート保守派勢力。
4.共和党を支配するエスタブリッシュメントに反発する南部、中西部を中心とした保守層+低所得・低学歴の白人草の根保守派勢力。
それがトランプvsエスタブリッシュメント候補者たちの対決構図だった。