イタリアンデザインとフランスの電池技術の融合

 パネルの写真に写っている小型EVは、パリ市が市内および市周辺で進めているカーシェアリングサービス「オートリブ」の車両である。

 2010年9月、パリ市はオートリブを実施するにあたって、フランスの物流・電子製品開発大手のボロレ社から車両と充電インフラ設備を提供してもらう契約を結んだ。

 契約期間は12年。最終的には3000台の車両と、6600カ所の充電施設を設置することになっている。オートリブのウェブサイト(https://www.autolib.eu)を見ると、2012年6月時点で車両が1740台、貸出・返却ステーションが1100カ所、充電専用スポットが5000カ所となっている(直近の台数や設備の数は明記されていない)。

 筆者は2009年3月のスイス・ジュネ―ブショーで、オートリブの車両の詳細を初めて知った。

 ジュネーブショーで、イタリアの自動車デザイン開発会社の大手「ピニンファリーナ」の記者会見が開かれた。その会見に登場したのが小型EV車両「ブルーカー」だった。ショーよりも前にコンセプトモデル「Bo (ビーゼロ)」として出展されたことを覚えていたが、量産化が決まったことに、かなり驚いた。

 そのブルーカーがオートリブの車両である。当時配布された資料を確認すると、ボディ寸法は、全長3650×全幅1720×全高1600ミリ。モーターの最大出力は50kw、電池容量は30kwhで、最高速度が時速130キロメートル、満充電での航続距離は250キロメートルとある。

 そして、同車の最大の特徴が「LMP」だ。これは、負極に金属リチウム、正極にバナジウム酸化物を使ったリチウムイオン2次電池と、コンデンサの一種であるスーパーキャパシタを組み合わせた蓄電装置だ。