11月6日、トヨタ自動車の豊田章男社長は記者会見で、2016年1月に米カリフォルニア州シリコンバレーの一角に「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」(TRI)を設立すると発表した。
TRIでは人工知能を主体とした先端技術の研究開発と商品企画を行う。今後5年間で総額10億ドル(約1230億円)を投資し、社員数は200人規模を想定しているという。
TRIの最高経営責任者CEOには、アメリカ人のビル・プラット氏が就任する。
実は筆者は今年6月、ロサンゼルス郊外でプラット氏に会い、ロボット技術に関してインタビューをしている。
元々彼は、マサチューセッツ工科大学(MIT)で長年にわたってロボット工学を研究していた。筆者がインタビューした時は、米国防総省の高等研究計画局(DARPA)が主催した災害ロボットによる技術コンテスト「DARPAロボティクスチャレンジ」のプログラムマネージャーだった。
インタビューの最後に彼は「DARPAは産学官から人が絶えず入れ替わるので、3~5年で辞めるのが普通だ」と言っていた。2010年からDARPAに務めていたプラット氏にとって、トヨタからの話はちょうど良いタイミングだった。というより、そのタイミングを見計らってトヨタから声をかけたといえる。
ライバル企業の動向は?
トヨタはすでにTRIとは別にシリコンバレーに拠点を持っている。「トヨタIT開発センターUSA」だ。場所はグーグルと同じマウンテンビュー市だが、グーグルのキャンバスとは5キロメートル程離れたビジネスパーク内にある。