LMPの技術展示品の前で、筆者はボレオ社のCEO(当時)のヴィンセント・ボレオ氏に話を聞いた。ボレオ氏が「20万キロまでメンテナンスがいらない。電池業界のなかでは、異端児扱いされる技術かもしれないが、性能には強い自信を持っている」と強調していたことをよく覚えている。
なお、当時の資料によると、リチウムイオン2次電池のセルの開発は、ボレオ社の子会社のバットスキャップ社とある。
車両は汚れが目立つ
ジュネーブショーでの「ブルーカー」登場から7年が経った。パリでオートリブが実際にどのように使われているのか、市街各所で観察してみた。
シャンゼリゼの他、オペラ座、エッフェル塔、ルーブル美術館、モンマルトルの丘、リヨン駅など中心市街地の各所で定点観測をしてみると、それぞれの場所で30分間に1~2台見かけた。
また、パリ市内から放射線状に走るメトロ(地下鉄)各線や、パリ市内の外周路に沿って新設が進むトラム(路面電車)を使って、市の周辺部にも行ってみた。中心部と比べると、「オートリブ」の車両を見かける頻度はやはり少し減った印象だ。
そして、各所で気になったのが、車両の汚さだ。シルバーメタリックのボディペイントの色が薄れ、ボディに張った各種のステッカーがボロボロに剥げ落ち、さらにはボディ各所に傷や凹みが目立つ。車内を覗くとシートやフロアの汚れが目視で確認できるほどだ。

フランスでは男女の喫煙率が高い。オートリブは車内禁煙なのだが、洋服に染みついたタバコ臭がシートにこびりついていることも容易に想像できる。