「サーカスとパン」から「大砲かバターか」へ

 現在のシリア介入はいつまで続くのか、そして拡大しないのか。介入1カ月を経過して、戦果が上がらないため、地上要員が当初の2000人から4000人に増員され、さらに何人かの犠牲者が出ているとの報道も出ている。

 ロシア政府も世論も、ソ連時代のアフガニスタン介入の悪夢を意識している。

 ロシアの世論調査(10月23-26日、Levadaセンター)によれば、シリア介入が「新たなアフガニスタン」となる、あるいはその可能性が高いと回答している者が35%に上り、可能性は小さい(41%)と拮抗、全くあり得ない(9%)を圧倒している。

 シリアでも既にその兆候が出ているが、ひとたび介入してしまうと、撤退は容易ではない。さらに、テロによる犠牲者が出れば、報復に打って出なければならなくなる。

 ウクライナ東部では、当初、小規模な工作部隊による煽動であったものが、昨年8月に人民共和国が瓦解の瀬戸際に追い込まれると大規模な軍事援助を実施、さらにウクライナ政府が、財政やライフラインをカットすると、「人民共和国」を支えるために毎月、数千万ドルを流し込むという泥沼にロシアは引き込まれている。

 アフガニスタンやイラクから撤退できない米国同様、ロシアも平和維持・現政権支援のために、撤退できない状況が訪れないとは限らない。 

 現在のところ、シリアの年間戦費は年金の年間予算の約1%である。しかし、対外スポンサー費が膨れ上がり、エネルギー価格低迷が継続するのであれば、「大砲かバターか」を選択せざるを得ない経済状態になる。

 その場合、国内から数々の対外スポンサー活動に対する不満が出てくるかもしれない。