ロシアがシリアにおける軍事行動を本格化させるなか、その持続性に注目が集まっている。
ここ数年、ロシアは、APEC(アジア太平洋経済協力)サミット、ソチ五輪と大規模な財政支出を伴う国家的プロジェクトを連発してきた。クリミア併合もこのリストに加えられよう。
さらに現在、ロシアはウクライナ東部の紛争に介入し非公式な形で軍事援助を行っているが、それに加えてのシリア派兵である。
しかしながら、エネルギー価格の低迷が長期化する中で、こうした散財を維持できる財政基盤は確実に弱まっている。
しばしば、ロシアはコスト度外視で勢力圏あるいは親ロ地域(在外同胞)の支援・維持に余念がないといわれる。しかし、仔細に観察すると、ロシア政府は政策の「集中と選択」を行っていることが見て取れる。
ロシアの介入コスト
Jane's(英国のジェーン年鑑)の分析によれば、ロシアはシリアに空軍機と攻撃ヘリコプター、整備その他要員2000人規模を派遣し、これに加えて誘導ミサイル、艦艇を作戦に投入している。
こうしたフローのコストは1 日当たり400万ドルと見積もられる(基地設置などの固定費用は含まれない)。これらの出費は当然、ロシア財政に負担をかける。
仮に今の介入ペースが1年間続けば約15億ドルとなり、2015年度ロシア国防予算の3%に相当することになる。
さらにロシア政府は、シリアに対する経済援助も計画している。