未来工業は知る人ぞ知る日本の有名企業である。日本の研究に余念がない韓国企業は、注目すべき日本の経営者として、パナソニックの松下幸之助やホンダの本田宗一郎、現役では京セラの稲盛和夫さん、日本電産の永守重信さん、ソフトバンクの孫正義さんなどと並び、未来工業の創業者・山田昭男さんを挙げるという。
パナ、ソニーが大赤字の中、売上高経常利益率は約10%
その未来工業は住宅やオフィス、工場などで使われているコンセントや電気ソケット、配線器具などの電設資材を製造販売している。
製品のほとんどはハイテクとは縁遠い。ローテク製品のデパートと言った方がいいかもしれない。
しかし、そんなローテクな製品を売っているのに、売上高経常利益率は10%近くある。2002年3月期の連結売上高は284億1200万円で、経常利益は25億8900万円。
ソニーやパナソニックなど日本を代表するエレクトロニクスメーカーが軒並み大赤字を出している環境にあっては驚異的な数字と言えるだろう。
日本の常識で考えると、社員に厳しいコスト削減と長時間労働を強いて、給料も安いというイメージになるかもしれない。
しかし、実態は全く逆。
ムダには厳しいものの、給料は高く労働時間はとても短い。午後5時になるとほとんどの社員は会社からいなくなっているのだ。
そのうえ定年が70歳と普通の企業より10年も長く、60歳を超えたからといって給料が減額されることは一切ないという。
年末年始は一斉に20日間以上の休みを取る。サラリーマンの働く環境としては極めて恵まれている。
いまの暗雲漂う日本経済にあって、なぜそのようなことが可能なのか。
不思議に思って当然だが、実はその疑問こそ日本がおかしくなっていった原因を示唆しているのではないだろうか。