経営を強くする

スカイマークを待ち受ける「コストダウン」の罠日本的経営を改めて考えてみた(33)

2012.06.14(木)  前屋 毅

ネットで火がつき、マスコミも騒ぎだしたのが低運賃を売りにしているスカイマークの「サービスコンセプト」である。同社の機内におけるサービス方針を文書にしたもので、今年5月18日から機内の座席前ポケットに入れて乗客に示していた。

 その内容があきれる。「サービスコンセプト」と銘打ちながら、実は「サービスはしません」という“宣言文”だからだ。“文句を言うな”という乗客に対する“脅し”とも言っていい。

 8項目からなる文書で、最初には「客室乗務員は収納の援助をいたしません」とある。そして、「お客様に対しては従来の航空会社の客室乗務員のような丁寧な言葉使いを当社客室乗務員に義務付けておりません」とある。

 さらには、「お客様に直接関わりのない苦情についてはお受けいたしかねます」と開き直りとしか思えない文言が続く。そして、「機内での苦情は一切受け付けません」とあり、「ご不満のあるお客様は『スカイマークお客様相談センター』あるいは『消費生活センター』等に連絡されますようお願いいたします」と結ばれている。

 こんな文章を押し付けられて怒り出さない乗客の方が珍しい。怒らなくても、不愉快な気持ちになる乗客が大半だろう。

 怒ったのは乗客ばかりではなかった。東京都の消費生活総合センターは6月5日、スカイマークに対して抗議文を送りつけた。「消費生活センターが会社に代わって苦情を受け付けるかのような記述は、到底容認できない」というわけだ。当然だ。

コストダウンで失われる濃やかなサービス

 ともかく、客室乗務員の負担を減らし、それで安い賃金を実現するのがスカイマークの狙いだと思われる。安い運賃を求めるなら客は我慢しろ、というのがスカイマークのサービスコンセプトだとも言える。

 コスト削減の観点から言えば、「合理化の徹底」と言えないこともない。しかし、日本の風土に受け入れられにくいコンセプトであることも事実だ。だから騒ぎになった。

 日本的経営の特徴の1つに「濃(こま)やかなサービス」がある。旅館に代表されるサービスは、部屋まで食事を運び、従業員が床を延べ、さらに細かいところまで気を遣ったサービスが行われる。海外から見ると「サービス過剰」にも映るらしいが、それが商品価値を上げているのも事実だ。

 日本製の冷蔵庫がアジアで売れているのも、化粧品を冷蔵庫で冷やす習慣の国では専用のスペースを設け、野菜を多く消費する国では野菜室を広げるなどの工夫をしているからだ。それも、一種の濃やかなサービスだ。

 さらには、修理センターを数多く設け、迅速に修理に応…

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