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役員人事は年に1度という不文律があったサムスンが、突然のCEO交代を発表し、波紋を呼んでいる〔AFPBB News

 2012年6月7日、サムスングループは、突然のCEO(最高経営責任者)交代人事を発表した。

 サムスン電子の崔志成(チェ・チソン)副会長兼CEO(61)がグループ全体を統括する未来戦略室長に就任、後任のCEOは半導体事業などを率いてきた権五鉉(クォン・オヒョン)副会長(59)となった。

 今回の人事ももちろん、オーナー会長である李健熙(イ・ゴンヒ)氏(70)の「ひと言」で決まった。サムスングループは、「準備経営」「管理のサムスン」を標榜し、不祥事や急速な業績悪化などを除いて「役員人事は年末か年始の1年に1回だけ」という不文律があった。

 サムスン電子など主力企業の業績は依然として絶好調だ。にもかかわらず、どうして突然のCEO人事があったのか。李会長の「危機感知センサー」が稼働したからだ。欧州出張から帰国した李会長が、世界景気の急速な落ち込みを目の当たりにして、体制刷新に踏み切ったようだ。

 人事を断行した6月7日という日は、サムスンにとっても李会長にとっても、きわめて重要な日だ。

「家族以外はすべて変えろ!」から丸19年の記念日

 19年前の1993年6月7日。会長就任から6年目の李会長は訪問先のドイツ・フランクフルトでサムスングループの経営刷新を求めた「新経営宣言」を出した。

 サムスン製品の品質の低さを痛感した李会長が「家族以外はすべて変えろ!」という強烈な指示を出して、全サムスン役員・社員に意識改革を命じたのだ。

 サムスングループが「量から質」重視の経営に転換した歴史的な宣言だった。

 勤務時間を朝7時から午後4時までに変えるなど数多くのショック療法を実施した。李会長は、携帯電話機に欠陥が多いことを知るや、運動場に問題の携帯電話機を積み上げ、火を放ってすべて処分したこともある。