ソウルの中心部で日本人観光客も必ず訪問する明洞(ミョンドン)。筆者はほとんど毎日、このあたりに昼食に出かけるが、最近、あちこちで建設工事が続いている。海外からの観光客をあてこんだホテルの建設ラッシュだ。

外国人に「占領」された明洞

 明洞はもともとソウルの中心部で、衣料品、ブランドショップや飲食店が集中している。流行の発信地でもあり、1980年代まではこのあたりを最新ファッションで歩く若い女性を指す「ミョンドンアガシ」という言葉さえあった。

 ところが最近は、完全に外国人観光客に「占領」されてしまった。衣料品、化粧品からお土産屋の店頭では、若い女性店員が流暢な日本語と中国語で、客の呼び込みに必死だ。一帯は、南大門市場やロッテ、新世界といった大型デパートなどにも近い。交通の便もよく、外国人にとって「観光を始める」のに最適な場所でもある。

 地下鉄明洞駅の真上にあり、日本人の間でも人気だった複合ファッションビル「ミリオレ」では現在、改装工事が続いている。ファッションビルをホテルに改造するためだ。

 地下と地上2階までは店舗とし、3階から7階までをビジネスホテルに改装するという。2012年6月5日付の「毎日経済新聞」によると、ホテルに転身する明洞のミリオレをウエスティン朝鮮ホテルと国民年金公団が共同で買収する方向で検討しているという。

 ミリオレの立地場所は、明洞地区でも超一等地で、買収合戦になるとの見方もある。

ファッションビルが相次ぎホテルに転業

 明洞をぶらぶらと歩くと、このミリオレ以外にも工事中の大型ファッションビルがあちこちで目につく。ミリオレ周辺の徒歩2~3分の範囲だけでも、4つほどのホテルの新規開業計画がある。いずれも外国人観光客をあてこんだビジネスホテルだ。韓国メディアによると、このうちの1つがロッテグループのロッテシティホテルになるという。

 徒歩10分ほどの範囲にまで目を向けると、さらに3つほどのホテルの新設計画がある。明洞地区にはすでに10以上のホテルがあり、新規開業でホテル密集地域になる。