ソフトバンク 執行役員 兼 先端技術研究所 所長の湧川隆次氏(撮影:榊水麗)
AIの活用が通信分野にも広がる中、ソフトバンクらが発足した「AI-RANアライアンス」が2025年に入り国際的な展開を加速している。
ソフトバンクが2022年に設立した先端技術研究所は、6GやAI、自動運転など幅広いテーマで研究開発を進めている。技術をビジネスにつなげることを目指し、挑戦と撤退を繰り返しながら成果を模索してきた。中でも現在注力する「AI-RAN」とは何か。次世代の通信とAIが交差する最前線について、所長の湧川隆次氏に聞いた。
新しい技術をビジネスにつなげる
――ソフトバンク先端技術研究所は2022年に設立されました。もともとどのようなミッションが与えられていたのですか。
湧川隆次氏(以下、敬称略) 先端技術研究所は、ソフトバンク社長直下の組織として発足しました。新しい技術をいかにビジネスに結び付けるかを、さまざまな角度から考え実行する、それが私たちの役割です。活動領域はネットワークをはじめ、AIや自動運転、量子コンピューティング・量子通信など。本拠は東京ですが、2025年1月に米国にも拠点を設立しました。
私たちが目指すのはイノベーションです。まったく新しい技術を生み出すというよりは、新しい技術を組み合わせる、あるいは技術の新しい使い方を考えるといったことに注力しています。
――技術とビジネスをつなぐために、どんな工夫をしていますか。
湧川 研究所には技術者だけでなく、ビジネス経験の豊かな人材も多いですし、法務のエキスパートなどもいます。そのため、研究所として投資案件を進めたりすることもできます。
技術者は、新しい問題を解くことが大好きです。しかしビジネスで重要なのは、解いた先に「出口」があるかどうか。目標とする出口が「論文」であれば何の問題もありませんが、私たちが目指すのは「事業の創出」です。事業化への出口が見えなければ、誰かがストップをかける必要があります。






