いろいろ、音大やら東大やらに迂回しましたが(この2つについては僕自身が内情に即して一定お話しできるので挙げたものですが)最初の「ノーベル賞」に戻りましょう。

・・・ノーベル賞級の研究がしたい。そのために受賞者のナニナニ先生の研究室を訪ね、個人的に研究テーマのことなど相談をしておいた方がいい・・・のかな?

 と問うなら、当たり前のことですが、いいに決まっているわけです。研究室を訪ねなくたっていい、国際学会その他、彼・彼女が登場する場に赴いて、先生のところで勉強したい、と申し出てみれば、何らかの反応をしてくれること、間違いありません。

 誰それと連絡を取ってください、どこそこのオフィスに資料があります etc etc そういう、当たり前のアカデミックなマナーというものが、日本では、社会一般はもとより、大学・大学院組織にも、しばしば欠落しているように思います。

良問と出合っているか?

 話を最初に戻しましょう。

 ノーベル賞受賞者を数並べて見てみると、いくつか研究グループ系列が見えることがあります。ある研究室の教授と、そこで学んだ元学生、さらにはその下で学んだ孫弟子・・・といった人々が、ノーベル賞の栄誉に輝いている。

 例えばデンマークの生んだ天才的な物理学者のニールス・ボーアは量子力学建設の父と言うべき人物で、彼の率いる通称「コペンハーゲン学派」はグループ全体として膨大な業績を上げました。

 ボーアの盟友マックス・ボルンの提唱した「量子力学の確率解釈」は大いに物議をかもしましたが、今日に至るまで地上に存在する最も正確な物理理論をしっかりと支えています。

 ボルンが指導教官として数学の面倒を見たヴェルナー・ハイゼンベルクは、新しい「行列力学」の創始者となりました。言うまでもありませんが、ボーアもボルンもハイゼンベルクも、超ど級と言うべき大物ノーベル物理学賞受賞者です。