高市政権は“横綱相撲”で挑むべきだ
ところで、今回の官邸主導の動きの中で、特に象徴的な立ち位置を示しているのが「チームみらい」だ。いち早くこの国民会議への参加を表明し、事実上、政府与党が推し進める政策路線に対して肯定的な立場をとるという政治的ポジションを明確に打ち出している。
「社会保障国民会議」の初会合で、あいさつするチームみらいの安野党首(中央)。右から2人目は日本維新の会の藤田共同代表=26日午後、首相官邸(写真:共同通信社)
チームみらいが「Values」と呼ぶ価値観には、「批判より提案を」「分断より解決を」といった、有権者にとって響きの良い言葉が並べられている。
また同様に、「私たちは誰かを貶めない」「感情ではなく、データと事実に基づいた論戦を行う」といった、新しい政治姿勢を積極的にアピールしている。
しかし、野党が担うべき主要な役割は、政府や、多数を占める与党の行動を厳しく監視し、権力の暴走や政策の誤謬に歯止めをかけることにある。
現状の政府の政策や社会の制度に対して「批判的な眼差し」を持たなければ、そもそも現在の日本の社会のどこに深刻な問題が存在しており、何をどのように改善していくべきなのかもはっきりしないだろう。
数の論理に安易に順応し、与党が提示する政策に無批判に賛成するだけであれば、それはもはや与党の補完勢力、あるいは第二与党としての役割しか果たしておらず、それこそ野党としての存在意義を問われかねない事態といえる。
給付付き税額控除は(そして言うまでもなく、消費税減税も)設計の仕方によっては、従来の社会保障や社会保険のあり方を大きく変えうるポジティブ、ネガティブ双方の可能性を有している。
それだけに拙速になることなく、幅広く、十分な検討が求められることは言うまでもないことだ。
高市政権が主導する「国民会議」の設置は、与党の政権運営における政治的戦術としては、野党を分断し主導権を握るべく巧妙に計算されたものであると評価できるかもしれない。
だが、衆議院において過半数を大きく超える圧倒的な議席を持ち、安定した権力基盤を有する与党は、野党を切り崩すような奇をてらった奇策に頼るべきではないというのが筆者の結論である。
まずは政府と与党の責任において政策案をしっかりと練り上げ、それを国会に正式な法案として提出し、国民監視の下で、野党の批判や対案にも正面から向き合い、堂々と論戦を展開する横綱相撲をとることが、国民の利益に適うそれこそ責任ある政治の姿ではないか。


