はや過当競争に突入、安さで10体に9体は中国製に

 中国共産党批判で知られる在米華人セルフメディア「小翠時財経」は、中国ロボット産業に対しても手厳しい。

「…多くの愛国者はこの(春晩の)パフォーマンスを見終わったあと熱狂し、我々のロボットはすでに米国を凌駕していると大喜びだ。だが、その間隙に冷や水をかけるようなことを言うよ。今年は国産ロボット淘汰の年になる」…

 実際、現在中国のロボット企業は、実はかつてのEV産業と同様、「内巻」つまり過当競争の状態に陥っている、という懸念は各方面から出ている。工業情報化部の発表によれば、2025年、中国のロボットメーカーは140社以上、発表されているロボット製品は330種。中国国内でロボット産業チェーンにかかわっている企業はすでに数十万企業におよぶ。

 ここまで発展したのは習近平政権がハイエンド産業を中国経済のけん引力に転換する政策を打ち出し、ロボット産業に大きな予算を割いているからだが、例によって、その予算、補助金と市場を奪い合う形で有象無象企業がどんどんロボット産業に参入している状況なのだ。

 2025年、1.8万体の中国製人型ロボットが世界に輸出され、その売り上げは4.4億ドル。前年比508%の急成長だ。世界で売られているロボットの10体のうち9体が中国製である。

 だがこの数字は、必ずしも中国ロボット産業が優勢であることを意味しない。こうした中国製人型ロボットを購入するのは主に研究機関やイベント会場での展示用で、実際に工場や危険作業現場で、人間の代わりに働いている人型ロボットはほとんどない。

 例えば、あるイベント会社が人寄せパフォーマンスのダンスロボットを購入した場合、次の年にカンフーができるロボットを購入する予算を取ることができるだろうか。また、中国製ロボットが代替可能なレベルの単純な人間の作業については、今の段階では、ロボット購入費、メンテナンス費と比べて人件費の方が安くつく。

 中国は長い目で見れば急激な人口減少問題に直面しロボット産業の未来は明るいようだが、短期的・中期的にみれば現在の中国は若者の失業問題が深刻で、一部ではロボットやAIが人間と仕事を奪い合う時代を懸念する声もある。

 実際、春晩のロボット出演率が年々上がっていることについて、「もう春晩のような伝統的な番組ですら、生身の人間のタレントやダンサーの仕事がロボットに奪われているではないか」といった観点で批判する声も中国のSNS上で散見された。