実は舞台の袖からリモコン操作?
例えば、春晩放送後、春晩のリハーサル風景と思われる映像がSNSで流れていた。その映像では、舞台の袖で、人間の武術家が武BOTと同じ動きをして、その動きをリモコン操作で宇樹スタッフエンジニアが操っている様子が映っていた。そして「宇樹のロボットはリモコン操作かよ!」という突っ込みがあった。
さらには実際に宇樹製人型ロボットの購入者が投稿したとみられる「失敗動画」も多々アップされた。ロボットに階段を歩かせたらすぐこけて、自立できない様子に、購入者が「このポンコツ!」とののしる場面もあった。
今、世界が注目している人型ロボットは、主にAIがカメラやセンサーで現実世界を「見て・感じて」、状況を「理解・推論」し、ロボットなどの物理的な体(本体)を介して「物理的に行動・操作」する技術を搭載した、いわゆる「フィジカルAI」だ。
だが、宇樹ロボットはリモコンなどで人が制御して人の動きを再現する。もちろん、ロボット複数体を、一糸乱れず、スピーディーにスムーズに、人とそっくりに動かす技術について、宇樹はトップを走っているのだろう。創業者の王興興は国内メディアのインタビューで、春晩の武BOTの核心は、独自の集団制御の実現であった、と語っていた。
だが、真のロボット好きにしてみれば、人間の代わりに自律的に感知し判断し動くのがロボットだ、と思うわけだ。
訪中した独メルツ首相も宇樹のロボットを視察した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
実は、同じような批判は、昨年8月に北京で開催された世界ロボット運動会1500m走で宇樹ロボットH1が世界記録を更新して金メダルをとったときにも起きた。H1は途中、人にぶつかるというアクシデントを起こしたのだがそれでも1位だった。
衝突はリモコン操作のために伴走するスタッフが交代するタイミングで操作をミスしたからだった。そして、このレースで2位になった北京人形ロボットイノベーションセンターが開発した「天工Ultra」はリモコン操作ではない環境感知型ロボット。この順位に、フェアではない、という批判が起きた。
王興興はこの時、「H1は実はリモコンを使わずに操作する能力も備えていたが、戦略の違いから、スピードを追求するため、最終的に競技場では依然としてリモコン操作の戦略を採用した」と弁解し、「次の運動会では自律走行型のロボットを出場させる」と語っていた。
だが、春晩に登場したのは、やはりリモコンロボットだったので、一部の期待しすぎるロボットファンたちからは、ブーイングが出たのだった。
では、中国のロボット産業に対する正確な評価というのは、いったいどのあたりにあるのか。