会談前の写真撮影に臨むトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=10月30日、韓国・釜山(写真:ロイター=共同)

米中両国を「G2」と表現したトランプ米大統領

目次

[ロンドン発]ドナルド・トランプ米大統領は10月30日、韓国・釜山で中国の習近平国家主席と会談した。ウクライナ戦争や台湾問題など多くの対立点を棚上げにしたまま、11月10日から中国からの輸入品に課しているフェンタニル関税を20%から10%に引き下げると発表した。

 米ホワイトハウスによると、中国は(1)フェンタニル製造に使われる前駆体の米国流入を阻止、(2)レアアースなど重要鉱物の輸出規制を撤廃、(3)米半導体メーカー・主要企業への報復措置を終了、(4)米国産大豆など農産物の中国市場へのアクセスを拡大すると約束した。

「全面和平」ではなく1年間の「一時休戦」に過ぎず、11月1日から発動するとしていた100%関税は見送られ、対中関税の実効平均は57%から47%に引き下げられた。

 トランプ氏は「われわれが望んでいたことはほぼすべて達成できた」と米CBSニュースの報道番組「60ミニッツ」で胸を張り、米中両国をG2と表現した。G2はバラク・オバマ元米大統領が当初掲げた概念だが、習氏の強硬姿勢に直面し、アジア回帰に転換した経緯がある。

 習氏は会談で「中国と米国はパートナーであり友人であるべきだ。中国は誰かに挑戦したり取って代わろうとしたりするつもりはない。中国の焦点は常に中国自身のことをしっかりと管理し、自らを向上させ、世界中のすべての国と発展の機会を共有することにある」と述べた。