習近平氏に笑顔はなかったが・・・(10月30日韓国の釜山で、写真:AP/アフロ)
直前発表に中国はショックを受けたか?
高市早苗首相との初対面で「日米黄金時代」の構築を確認し合ったドナルド・トランプ米大統領は、10月30日、韓国で中国の習近平国家主席との首脳会談に臨んだ。
首脳会談が実現するかメディアは最後まで疑心暗鬼だった。しかし、約6年ぶりの首脳会談は米中両軍が激突した朝鮮半島の地で実現した。
東アジアにおける米中の安全保障・技術覇権競争を念頭に、米中首脳会談が韓国を舞台とした「地理的・外交的意義」を指摘する報道もあった。
会談の直前、トランプ氏はSNS上で、米国が約33年ぶりに核兵器の実験を再開するよう指示・示唆したと報道されている。
習近平氏の反応次第では、首脳会談も中止になる可能性もあった。
米メディアは、核実験の再開指示が会談直前に行われたため、外交的にも衝撃を伴うタイミングと受け止めた。
「中国側はこの発表に“ショック”を受けた」「主要な首脳会談直前に出てきたサプライズ発表で中国側には想定外だった」などと報じた。
(As Trump meets Xi, Chinese leader has the upper hand - The Washington Post)
中国外務省の郭嘉昆・報道官は、米中首脳会談後、米国に対して「包括的核実験禁止条約(CTBT)に基づく義務を誠実に履行し、核実験を停止する慣行を守る」よう呼びかけた。
また、中国は「我が国は核実験モラトリアムを一貫して維持してきたし、これを守る。(米国は)国際的な戦略の均衡と安定を維持するため、実質的な行動をとるべきである」と述べた。
(編集部注:CTBTは米中ともにモラトリアムは維持しつつも未批准で法的拘束力はない)
これより先、習近平氏は首脳会談冒頭の報道陣を入れた写真撮影の場面では、トランプ氏がタイ・カンボジア国境紛争やイスラエル・ハマスのガザ軍事衝突の停戦の仲介の労を取ったことを称賛するなど、カメラの前では友好ムードを振りまいていた。
(非公開の会談の席上でどのようなやりとりがあったかは、現時点では知る由もない)