英誌「習近平は以前にも増して自信に満ち、迷いがなくなった」
英誌エコノミスト(10月26日付)は日本では求心力低下が取り沙汰される習氏について「かつてないほど大胆不敵になった」と真逆の見方を示している。
13年間1万4000件の習氏の演説・著作を読み解くと「希望・奮闘・理解・意見」の文字が減り「強国・統治・防衛・秩序・人工知能(AI)」が急増している。
エコノミスト誌によると、中国共産党の機関紙・人民日報のデータベースには2013年以降、2000万字を超える習氏の言葉が記録されている。今や習氏の口癖になった「強国」の使用頻度は13年の7%から今年は23%に増加。「100年に一度の大変化」はゼロから10%に増えた。
中国の復興という「偉大な事業」は1%から15%に、「台湾」への言及も4%から7%に増えた。13年から今年にかけ最も使用頻度が増えたのは「高品質」で3%から40%に激増。「デジタル」は1%から14%に、「テクノロジー」は17%から27%、「AI」はゼロから13%に増えた。
使用頻度が最も減った言葉は「希望」で47%から24%に減少。逆に「統治」は11%から29%に増加。今日の中国には以前より「問題」(52%から36%に減少)が減り「秩序」(4%から17%に増加)がより確立されていると習氏は自信を持っているようだという。
エコノミスト誌は「習氏は以前にも増して自信に満ち、迷いがなくなり、交渉の場で対峙するには手ごわい指導者となっているようだ。彼はまさに絶頂期にある指導者のように振る舞っているが、自信と傲慢さの境界は微妙だ」と締めくくっている。
【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
