2012年に予見されていた犯罪のエスカレート
暴排強化の問題については、過去にも国会でも取り上げられたことがあります。暴排条例が全国で施行された直後の2012年5月18日、参議院において、又市征治議員が、平田健二議長に対し、「暴力団員による不当な行為の防止等の対策の在り方に関する質問主意書」を提出しました(下線筆者)。
その中では、「暴力団排除条例による取締りに加えて、本改正法案が重罰をもって様々な社会生活場面からの暴力団及び暴力団員の事実上の排除を進めることは、かえってこれらの団体や者たちを追い込み、暴力犯罪をエスカレートさせかねないのではないか。暴力団を脱退した者が社会復帰して正常な市民生活を送ることができるよう受け皿を形成するため、相談や雇用対策等、きめ細やかな対策を講じるべきと考える」(第180回国会(常会)質問主意書第116号)として、暴力団離脱者の社会復帰における社会的「受け皿」の形成の必要性が言及されています。
未来永劫社会的に排除される可能性
しかしながら、その社会的受け皿は、暴排条例施行後10年経った現在も、十分に形成されていないという現実があります。その上、ネット上のデジタルタトゥーにより、スティグマ(負の烙印)が付され、ますます社会復帰が困難になっています。下手をすると一度でも暴力団に加入したり、特殊詐欺に関与して名前が公表されてしまうと、未来永劫社会的に排除される可能性すら否めないのです。
そうすると、離脱者には社会的居場所がありません。人間は社会的動物ですから、一人では生きられません。「居場所」や「受け皿」は、暴力団離脱者にだって不可欠なのです。