行政的通信傍受の法制化
スパイは多くの場合、隠密に行動する。時には地下にもぐり活動する。
このように隠密に行動するスパイを探知する手段には、一般に次のようなものがある。
①隠密の人的情報源(協力者や情報提供者)
②指定監視(尾行や監視)
③通信傍受(電気通信による通話の傍受、手紙や電子メールの開封)
④侵害的な監視(家または車の中での盗聴)
近年のインターネットの普及により通信手段として電子メールが使われるようになったのに伴い、通信傍受がスパイを探知する重要な手段となってきた。
通信傍受とは、電気通信の伝送路の途中に装置を取り付け、会話を傍受することである。
我が国では、2000年に「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」が施行された。この法律は、我が国において犯罪捜査のための通信の傍受を合法として認めた最初の法律である。
この法律は通信傍受の対象となる犯罪を限定し、さらに、「犯罪が行われたと疑うに足りる十分な理由」がなければ通信傍受は許可されない。
これでは、隠密に行動するスパイに対応することはできない。
ところで、通信傍受には司法的傍受と行政的傍受がある。我が国の「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」に基づく通信傍受は司法的傍受である。
元内閣情報調査室長の大森義夫氏は、その著書『日本のインテリジェンス』の中で、次のように述べている。
「行政的傍受は日本では認められていない。しかし、この制度のない先進諸国は存在しない」
「内務大臣または司法大臣、ニュージーランドなどでは総理大臣の書面による許可状によってインテリジェンス機関が実施する。傍受の対象はインテリジェンスの対象である」
「例をあげれば、冷戦時代のソ連大使館の館員やソ連政府の指示で動いている自国民は傍受の対象である」
司法的傍受にしろ行政的傍受にしろ、通信傍受は、日本国憲法第21条で保障された「通信の秘密」やプライバシーの権利を侵害する恐れがあるため、その実施には厳格な法制化が必要となる。
早急に、行政的傍受を法制化し、国内で暗躍するスパイやテロリストを取り締まるべきである。