「生活者」とは「消費者」を拡張した概念である
「生活者」という言葉は、伝統的には「消費者」を拡張する概念として使われてきました。森永ヒ素ミルク事件(1955年)に端を発するといわれる日本の消費者保護活動ですが、英語の「consumer」を直訳したフレーズであるとはいえ、どうにもしっくりこないという感覚は昔からあったようです。そうしたなか、様々な言い換えが検討されてきた中の一つとして、「生活者」は比較的有力なものでしょう。
つまり、「生活者」とは、社会を構成する個人を、単にモノを消費するだけの側面から捉えるのではなく、ある面では生産にかかわり、ある面では消費活動を通して自己実現を図っていく存在として規定しようとするものです(ただし、中道のサイト上に定義がないので、こうした伝統的な意味で「生活者」を使っているのかどうかはよくわかりません)。
私は専門分野が保険行政なのですが、保険の規制・監督の目的はつまるところ「消費者(契約者)保護」です。かつて保険募集は「保険募集取締法」という法律で規制されていました(貸金業も同じで「貸金業取締法」でした)。要は、保険募集は消費者に害をなす危険なものであり、取り締まらなければならないと認識されていたわけです。
プルデンシャル生命問題は「生活者軽視」の行政の結果か(写真:共同通信社)
平成7年の保険業法全部改正時に募集取締法は吸収されてその名前はなくなりましたが、最近のプルデンシャル生命の問題などを見ていると、やはり「取り締まる」必要があるのではないかと思わないわけでもありません。
なので、私は消費者行政には強い関心を持って見ています。個人的には、近年の行政改革として最も価値のあったものは、福田(康夫)内閣による消費者庁の設置(2009年)であったと思っています。