金融業界は「生活者ファースト」アピールするための題材の宝庫

 さて、自民党の大勝を受けて、衆議院では27の常任委員会と特別委員会のうち、すべての常任委員会の委員長を自民党が獲得することとなりました。野党に与えられた委員長ポストは選挙前の12から2に激減することになりました。

 ただ、その2つのうちの1つが「消費者問題に関する特別委員会」であったことは中道にとってはチャンスなのではないかと思っています。ここで充実した国会審議を行い、「生活者ファースト」の意義を国民に伝えられるかどうかが党勢回復のカギになるのではないでしょうか。

 SNSを開けば、金融商品・サービスについて詐欺としか思えない広告や、詐欺とまではいかなくとも非常に問題のある広告が洪水のように表示されます(私はそういう広告を片っ端からチェックしているので表示されやすいのでしょうが)。

 最近流行っているのが、NISAやiDeCoの説明会を装って、ほかの金融商品を買わせようとしているパターンですが、こうしたものをなぜ取り締まることができないのでしょうか? 消費者特委において審議すべき重要なテーマになり得るでしょう。

 また、政府として「貯蓄から投資へ」を推進しているにもかかわらず、保険会社が多額の手数料を投入して利回りの低い貯蓄保険を売りさばいていることについて、消費者特委で議論してもよいでしょう。そのような低利の商品でなくインデックス投資信託を購入すれば期待リターンははるかに高いわけですから、これも結局は消費者・生活者に対して機会損失を与えてしまっているわけです。

 ほかにも金融業界における消費者問題のタネはいくらでもあります。金融庁はその成り立ち的に金融システムを守ることが最大の使命なので、金融業界と消費者の利害が対立する場面ではどうしても金融業界よりになってしまいます(なお、本当は生命保険会社は金融システムを構築していないので守る必要はないのですが、なんとなく銀行の並びで守られています)。

 プルデンシャル生命の問題も、本当に「顧客本位」の判断をするのであれば、免許取消ということも視野に入ってくるはずです。なにしろ、生命保険会社の中でも特に財テク商品に偏った経営モデルなので、金融システムとしての機能どころか生命保険業が持つ生活のインフラとしての機能も極めて薄いため、消滅したところで消費者は特に困りません。

 銀行などの金貸しであればどれだけあくどい商売をしていても「他者に資金を融通する」という最低限の社会的メリットが存在します(ヴェニスの商人のシャイロックやミナミの帝王の萬田銀次郎のような高利貸しにも一応の存在意義がある)。しかし、倫理観を失った保険会社は社会にとっては害悪でしかないのです。

 代わりの業者もいくらでもいます。ある保険会社が潰れても国民に生命保険が行き渡らなくなるなどということはなく、すぐに似たような会社の似たような商品のセールスマンがやってくるでしょう。

 消費者庁は、金融商品・サービスに関する消費者問題は金融庁の縄張りであるためか、あまり積極的に関わってこない印象がありますが、本来はそんな縄張りを土足で踏み荒らすことが求められているはずです。それが消費者庁に与えられた「横串を刺す」官庁としての役割なわけです。