「お金や数字が好きなおじさん」

 近氏は会見で自分のことを「お金や数字が好きなおじさん」と語った。これは、拝金主義という意味ではない。豊田氏が「クルマ好きのおじさん」、佐藤氏が「クルマ造りが好きなおじさん」と言われてきたことと比較して、ビジネスマンとして自分を例えたのだ。

 近氏はトヨタの「大番頭」と言われた元社長の石田退三氏のことを例示した。石田氏は「自分の城は自分で守れ」と言ったことが有名で、外部環境がどのように変化しようとも、トヨタが自立し続けられるように、お金にこだわった、とされる。

「石田氏はお金にこだわり、無駄な投資はさせなかったが、未来や夢には大きな投資をした。この考え方は今のトヨタも変わりない。お金を未来のために投資し続けられる収益構造にこだわる」と近氏は説明した。

 技術革新の波が襲い掛かっている自動車産業の中で勝ち残っていくためには莫大な投資が必要になる。そのためには、資金力が豊富なトヨタでも、さらなる「稼ぐ力」が重要になることを意識して、近氏は語ったのだろう。

 現在のトヨタは海外も含めた他の自動車メーカーと比較しても抜群の収益力を誇っている。6日発表した26年3月期決算の業績見通しでも、「トランプ関税」による減益要因が1兆4500億円ありながら、3兆8000億円の営業利益を確保する。売上高営業利益率は7.6%となり高水準を維持している。